大事なところで失敗する原因と心理学的な対処法

ここぞという時にミスをしてしまう、肝心な場面で失敗してしまう・・・
「本番に弱い自分を克服したい」という理由から心理学を学ぶ人は少なくありません。実際に私がそうですので。

 

特に、本番や大事な場面に差し掛かると心臓が激しく踊りはじめ、取り返しのつかない状態になってしまうことがよくありました。しかし、心理学を学んだおかげで、失敗や緊張に対する考え方が変わり、今ではだいぶマシになったのではと自負しております。

 

そこで、今回は、私の経験と心理学の目線から、なぜ大事な場面で失敗するのか、またその対処法について解説していきます。

注意力が足りないの意味

よくミスをする人は注意力が足りないと、指摘されることがありますが、「注意力」とはなんのことなのでしょうか。この意味を理解しなくては、「集中しろ!」といったアドバイスは無意味になってしまいます。

まず大前提として、

 

「人は世界を目で見ているようで見ていない」

 

ことを抑えておく必要があります。これはここ数十年で研究が加速している認知科学の分野で判明していること。私たち目で見たものがそのまま認識されると考えがちですが、実際には、目から入った情報を脳に伝えることで初めて目の前にあるものを認識できます。

 

「見ている」と「観察している」の違いでもありますが、単純に見えているだけでは、脳に情報として残りづらくなってしまいます。つまり、人間は注意を向けている対象しか「認識」することができないんですね。

 

1つここでテストを行ってみましょう。

これは、ハーバード大学の研究室が作成した動画による実験です。この動画では、黒いシャツと白いシャツを着たチームがそれぞれバスケットボールを持って、仲間にパスを出し会っています。

 

この動画をみて「白いユニフォームのチームがパスを出した回数」を数えてください。準備ができたら、以下の動画でテストしてみましょう。

 ハーバード大学特別実験「セレクティブアテンションテスト」

 

さて、いかがだったでしょうか。実はこのテストは正確にパスを出した回数を数えられたかどうかではなく、「ゴリラの存在に気づけたかどうか」を測ったもの。

 

パスに注意を向けさせた状態でも、人は違和感に気づくことができるのか?というのが実験に趣旨だったわけです。

 

もう一度、動画を見ればわかりますが、ゴリラは画面の隅っこで見切れているレベルではありません。時折、画面の中央まで大体に姿を現しています。それだけではなく、わざわざ目立つアピールのようなことまで行っていますね。気づくことができたでしょうか。

 

実際にハーバード大学の実験では、ほとんどの人がゴリラに気づくことができなかったといいます。このように、人は身の回りのものを見ているようで、「認識」できていないことが多いのです。

つまり、注意力とは「ある物事」に意識を向け続けるパワーのことを意味します。これの力が強ければ、強いほどミスも少なくなりますね。

ミスの原因は「雑念」

ハーバード大学の動画では、「パスに注意を向けさせる」ことで、ゴリラの存在に気づくことができないというミスを誘発させました。つまり、大事なところでミスをしてしまう原因はシンプルで、「他のこと注意が向いている」ことが一番大きいです。

 

特に本番前などのプレッシャーのかかる状態では、「不安」や「心配事」といったパフォーマンスとは関係のないことを脳が考えやすくなります。

 

  • ミスしたらどうしよう
  • 緊張を抑えなくちゃ
  • あいつバカだと思われるかも

 

このような「雑念」が浮かぶことで本来注意を向けなくてはならない行動に、集中できなくなります。例えば、プレゼンで「ハッキリした声でしゃべる」などの意識すべき点が頭の中から消え去ってしまうわけです。

 

その結果、不安に囚われた状態でプレゼンすることになり、案の定あがり倒してミスをしてしまうんですね。じゃあ「緊張」や「不安」を止めればいいんだ!という結論を思い浮かべるかもしれませんが、これは早とちり。

 

考えないようにしようと思えば思うほど、逆に考えてしまう「シロクマのリバウンド効果」なるものが心理学には存在します。つまり、思考や感情は自分ではコントロールできないのです。

大事なところでミスしない方法

感情や思考がコントロールできないなら、雑念が浮かび放題なので注意力なんか上がらないのでは?と思ってしまいがちですが、方法はあります。

 

それは、「感情を受け入れる」ことです。

 

緊張や不安といった感情は、300万年前から存在していて人間のDNAにキッカリと刻みこまれたもの。いくらあなたが、頭で「緊張を止めるぞ!」と思っても、そううまくはいきません。ならば、強引に思考や感情を抑えるよりも「受け入れる」ことが手っ取り早いですよねーという理論です。

 

受け入れるってどういうこと?という感情に支配されるかもしれませんが、例えば、緊張が表れた時に、強引に抑えこもうとするのではなく、「心臓がドキドキしている感覚」や「肩が上がる様子」など、客観的に緊張を「観察する」のです。

 

そうして緊張している自分をあるがままに捉えて、今やるべきことに注意を向けなおすのです。ステップとしては以下のような感じ。

 

プレゼンの前

1.あぁ!!、怖い、緊張する!!!(自動思考)
2.おっと、今自分は緊張しているぞ(気づき)
3.自分の状態はどうなっている? 呼吸が荒くなっているな・・・
4.緊張しているから、いつも以上にゆっくり話そう

 

このように、本当に大事なところに意識を集中させることで無駄なミス防ぐことができます。ちなみに、感情や思考を受け入れて、やるべきことに集中するテクニックは最新の心理技術であるACT(アクト)というもの。

 

思考や感情と上手く付き合いながら、最高のパフォーマンスを出すために非常に役に立つテクニックです。私もACTであがり症や対人不安を克服することができました。ぜひ興味があれば、試してみると良いでしょう。それでは。

⇒心理療法ACT(アクト)のやり方!マインドフルネスで恐怖を克服



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